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「微熱37.4℃」 【1】
(うわ、なん…か…身体が…焼ける)
小さなシロエの記憶を消し、シティからの攻撃を何とか凌いでシャングリラに帰艦したものの、身体が火傷したみたいにものすごく熱い。あちこちの関節がぎしぎしいって、歩くたびに悲鳴を上げる。
ドクターが何か言ってるみたいだけれど(サイオンの使いすぎだとかなんとか?)その声もやけに遠くに聞こえて、目の奥が真っ黒になったかと思うとそのままボクは意識を失った。
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次に目を開けるとそこはここ数ヶ月間ですっかり馴染んでしまった自分の個室<コンパートメント>だった。
意識を失う前あんなに高かった熱もすっかり落ち着いて、今はただ汗をかいた後の気だるい感じだけが身体に残っている。
「熱…下がったみたいだな」
真っ暗い室内の中、昼なのか夜なのか確認しようと窓の方を見る。
だけど、そこにはいつも見慣れたアルテメシアの青い空は無く、代わりに細かな星の光たちが淡く部屋の中を照らしていた。ボクは窓にはめ込まれた見慣れない外〈宇宙〉の景色をただぼんやりと眺めていた。
(もう、アタラクシアじゃないんだ…)
14年間暮らしてきたシティの、透き通った綺麗な青い空を思い出す。そこに自分の居場所は無いと分かっていても、何の前触れもなく離れてしまった故郷のことを考えると、何だか切ない気分になる。
マム…パパ…サム…スウェナ…みんな…。
涙が出そうになるのを奥歯を噛んでぐっと堪える。よくパパが言っていた。<ジョミー。泣いても一日(イチニチ)、笑っても一日。どちらも同じ一日だったら笑って一日の方が良いんじゃないか?>。
気分を切り替えよう。昨日の悪いことばかり考えてても仕方が無い。今日や明日に申し訳ないだけだ。
「今、何時なんだろ?」
ベッドサイドにある時計を手に取ろうと身体を起こすと、右腕に何か重みを感じて、ぎょっとした。
何か……いる。
暗くて何がなんだかわからないけれど、とにかく"何か"がボクの腕に乗ってる。
何だ?…とりあえず触ってみようと思い、空いてる左手を伸ばすと、さらっとした感触が指先に触れた。
髪?
それはするりと指からすり抜けて、辺りにふわりとシャボンの香りが広がった。
ブルーがいつも使っているシャンプーの香りだった。
第5話直後くらいのお話です。
りんごとはちみつとろ~りとろけるグ○コバーモン○カレー(甘口)のような、えっちナシの軽め甘めなSSになる予定ですので、お気軽にななめ読みにでもしていただけたら嬉しいです。4回くらいで完結しちゃうと思います。
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