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Q太郎でございます。
以前、大好きサイト様で素敵タイタ/ニック・ハレブルSSを拝見致しまして、それからもうず~~っと、頭の中で「銀河/鉄道の/夜」がグルグル巡っております。
で、随分前に妄想捏造した「その後話」をハレブル変換でやってみようかなぁ…と。
よくあるネタとは思いますが。
なんか、すっかり独り善がりな話で、何コレ?な内容になっております。
ハレとブルしか書いてません。あんまり書き込もうとすると、ただでも底が浅いのに更に浅さを自覚するハメになるのでちょっと止めました(弱虫)。
「私の大好きで大切な聖域作品に対して何て事をっ!捏造なんてトンデモナイ(激怒っ!)」
な方は、大急ぎでバックオーライでスルーして下さいであります。
平謝りに謝り倒します故、どうか勘弁してやって下さい。
ゴメンナサイ。ゴメンナサイ。
読んでやっても良い…な豪気な方は右隅の「ご笑覧下さい」からお入り下さい。
あと、読んじゃってから「すっかりイメージぶち壊しだよ!」の方々にも今からお詫びしておきます。ゴメンナサイです。
でもお怒りコメントは勘弁して下さいませです~(平伏)
更新ビッタリ止まったヘッポコなミジンコサイトを覗いては拍手をして下さる皆様~~♪
有難うございます。有難うございます。
もう涙で前が見えませんです~。
深謝。
………… ………… ………… …………
夜の暗さの向こうに
溶けて滲んだような 微かな汽笛が聞こえる
湿った草の匂いをのせて、夜の風が頬を通り過ぎていく。
「ウィリアム、ウィリアム……起きて、遅れてしまうよ」
遠い遠い記憶の奥深くの、胸を刺されるような懐かしい声に揺り起こされて目を開けば、墨色の空が無数の星々の輝きを伴い横になっているハーレイを見下ろしていた。
「こんな所で寝てたりしたら駄目だよ。急がないと……ね」
こんな所とは…と辺りを見渡すと、昔よく遊んででいた小高い丘の草はらにハーレイは寝転んでいた。
数日前からどうにも具合が悪く、特に昨日からは熱も高くなって寝室から出る事も出来ずに臥せっていた筈なのにと、慌てて起こした身体の隣でクスクスと笑う声が彼を促す。
「さぁ行こう。汽車が出発(で)てしまうよ。…ふふっ…君はどんな良い夢を見てのだろう?随分とぐっすり眠っていたから」
揺れる柔かな銀の髪、穏やかで聡い赤い瞳。
ああ……。
ハーレイの口から漏れる驚きは、過ぎてゆく夜風に攫われて消えてしまう。
「ほら立って」
華奢な身体が跳ねる様に立ち上がると、ハーレイの老いて皺を刻んだ痩せた大きな手を取り笑いかける。
ようやくハーレイは咽喉に詰まっていた言葉を吐き出した。
「ブ……ルー……?」
「うん。僕だよ、ウィリアム」
さぁ、急いで…と走り出すブルーの背中は、あの日、星の海を渡る汽車に乗って銀河の果てまで共に旅をした時と何も変わっていなかった。
すんなりと伸びた白い手足が風を払い草はらを蹴る。
それに比べ、追い掛け立ち上がろうとする自分の身体の何と重く動きの鈍い事か。
「ブルー…。君は私を迎えに来てくれたんだね」
ハーレイの問いにブルーの足が止まった。
「今度こそ、どこまでも一緒に行けるんだね」
振りかえったブルーの瞳はまるで蠍の炎のように赤く揺らめき、そして夜露をはらみ濡れているようにも見えた。何を思うのか暫し俯き小さな息を吐き、そうして彼は改めて僅かに頷くとハーレイの目を見つめ返した。
「君はいつも僕を思い出してくれたね」
星祭の時は必ず思い出してくれたね……と、ブルーは懐かしむ様に、けれどどこか切なそうに微笑んだ。
星祭の夜の度に君は僕を思ってくれた。いつか君の隣りに可愛らしい女性がいるようになって、彼女と一緒に広場の人々の輪の中を歩く時も、君は僕を胸の内で呼んでくれた。
君がお嫁さんを貰って、可愛い子供が生まれて、その子達に僕との旅の話を寝物語に聞かせていたね。
ねぇ、ウィリアム。僕がどんなに嬉しかったか君に判るだろうか。
君と同じ時間を刻む事の出来ない置いてけぼりの僕に、君は「いつまでも、どこまでも一緒だ」と何度語り掛けてくれただろう。
君の偽りのない真の心は、僕にとってどれ程の幸いとなっただろう……。
ブルーの瞳がひんやりとした夜風の中で数度瞬ぎ、その眦から小さな硝子玉のような涙がまだ丸みを残す頬を転がり落ちる。
ハーレイは老いた足でブルーの側に歩み寄ると白く細い指をそっと握った。
「どこまでも一緒に行けるね。今度こそ、どこまでも」
皺枯れた声で幼い日と同じ言葉でハーレイが問えば、その言葉に今度は大粒の涙をポロポロと零すブルーの小さな手がハーレイの掌の中でギュッと拳をつくり震えた。
「僕は赦されるのだろうか」
僕は、赦されるのだろうか。
繰り返し呟くブルーの苦しい言葉の続きをハーレイは静かに聞いた。
あの夜の水はとても冷たかった。
川に落ちたあの子を舟に戻すので精一杯だった。
手も足も悴んで僕はあっという間に流されてしまった。水面に顔を出す事も出来ず、もがき、幾度も水を飲み、苦しさの中で気が遠くなり、いよいよ駄目なのだと悟った時、僕は君の名を呼んだんだ。
ウィリアム、ウィリアム、ウィリアム……!!
お母さんでもなく、お父さんでもなく、僕が最期に呼んだのは君の名前だった。
死者を導く汽車の中に君を見つけたとき僕は心底驚いた。
何故、どうして君がここにいるの?
けれど僕は正直喜びもした。
たった独りで逝くのはあまりに心細過ぎて、だから神様が君を僕の元へ寄越してくれたんだと。
なんて罪深なことを思うのだろう。
何も知らない君を、僕は僕の為だけに道連れにしようとしたんだ。
本当の事を言わず、ただ無邪気に僕と旅する事に笑う君を……。
僕はただ自分勝手に連れて逝こうとしたんだ。
なんて…なんて恐ろしい。
赤い瞳からポロポロと零れ落ちる雫達はまるで星の光の結晶のように透明で美しく、ハーレイはその儚さに思わず手を出し受け止めた。
その様を見たブルーの瞳からは更に涙が溢れ出て、次々と大きな掌に落ちては弾けていく。
ウィリアム、僕は君と烏瓜を取りに行きたかった。星祭に行きたかった。
一緒の舟に乗って烏瓜を川に浮かべたかった。
どこまでも流れていく青白い光を、いつまででも君と眺めていたかった。
だけど僕に意気地がないばっかりに君を誘う事ができなかったんだ。
君のお父さんが遠くの海から帰って来なくて、お母さんが病気で、君は働いていて。
だから誘うのは迷惑なのだと、声を掛けてはいけないのだと自分勝手に言い訳をして。
君が教室でつらい思いをしているのも知っていたのに。
あの日だって心無い揶揄いに君はきっと酷く傷ついていたのに。
そんな僕が君を迎えに来るなんて、きっと誰も赦してはくれないだろうのに……。
赦されはしない
赦される筈はない
だのに僕は……
僕はどうして迎えになど来られたのだろう。
「ブルー…」
ハーレイは低くブルーの名を呼ぶと、そっと親指で涙を拭い掌で頬を撫でる。
地面に膝を付き目線を合わせたハーレイの大きな手の温もりが、冷たくなったブルーの頬を優しく包んだ。
「あの夜……」
今度はハーレイが、長い事胸の奥に深く刺さった小さな棘を掻き出す様に、ずっとしまい込んでいた心の内を語り始める。
私もね、同じなんだよ。
あの夜、つまらない揶揄いなど気にせずに星祭りの輪の中に入っていれば、君の側で川下に流れていく烏瓜の灯りを眺めていたなら、私はきっと誰が止めたって暗い川に飛び込んで、君を舟へ押し上げただろう。
どんなに川の水が冷たくて流れが速くても、君を見失ったり手を離したりしなかっただろう。
星祭の夜が巡ってくる度に、私はあの日の自分の幼稚な短気を後悔した。
年を重ねる毎にこの思いは深まるばかりだった。
星空の向こうにいる君に「どこまでも一緒だ」と誓うことができるなら、何故あの時、臆病にも広場から逃げ帰ってしまったのだろうと、君の思い出を街のどこかで見付ける度に、弱い自分の心が君を独り銀河の果てに置いて来てしまったのだと、私はずっと君に謝り続けてきたんだよ。
赦されない。
赦される筈はない。
それは私だよ、ブルー。
それなのに君は…私を迎えに来てくれたんだね。
大きく頭を振り俯き涙を零し続けるブルーに、ハーレイはそっと触れた。
震えるブルーの壊れそうに華奢で柔かい子供の身体を、老いて痩せた全身で包む様に、そっとそっと優しく抱き締めた。
「僕と一緒に行ってくれるだろうか」
涙に潤んだか細い声でブルーが問う。
「行こう。どこまでも行く汽車に乗って、どこまでも…今度は石炭袋の向こうにだって一緒に行ってみよう」
ハーレイの間を置かぬ答えに、ああ…とブルーが祈るような小さな息を吐く。
そして、すん…と二度程鼻をすすり、手の甲で涙を拭う。
「うん……」
漸く顔を上げたブルーが小首を傾げて含羞みながら嬉しそうに笑って見せた。
遠くに聞こえる長い汽笛が彼等に出発の時間が迫っているのだと教えてくれる。
「いけない、乗り遅れてしまう。ウィリアム急がないと!」
「ま…待っておくれブルー」
再びハーレイの手を取り駆け出そうとするブルーに、ハーレイは慌てた声を出す。
「君みたいにね、もう早く走れないんだよ。だってこんなに年をとってしまって、すっかりヨボヨボのおじいさんになってしまったんだからね」
困ったように笑うハーレイをブルーは一瞬きょとんとした表情で見つめ、次にとても可笑しそうに笑い出した。
「何を言ってるんだいウィリアム。君の一体どこがおじいさんなんだい?」
瞬間、ざぁっと足元を掬い巻き上げるような強い風が二人の間を通り過ぎていく。
ハーレイがあまりの風の勢いに思わず閉じてしまった目を恐る恐る開けて見れば、ブルーに掴まれていた自分の手は皺一つない小さな手に変わっていた。
空いている手で頬に触れ身体に触れては子供の身体になっている自分に驚くハーレイを、面白そうにクスクス笑いながらブルーは握った手に力を入れて、走ろうとハーレイを促した。
「行こう」
頷くハーレイにブルーもまた頷き返し、同時に二人は駆け出した。
足は羽の生えた様にどこまでも軽い。
化石を掘る男達のいた海岸をハーレイは思い出す。
太古からの時間の流れを一気に駆け抜けた時と同じように全力で走っている。大好きな幼馴染の手の温もりを感じながら。
「リンドウの花畑を見よう」
走りながらハーレイは言った。
「河の向こうに白鳥を見て、北十字に二人で祈ろう」
ブルーも答える。
「渡り鳥を捕まえるおじさんにも会えるかしら」
「会えたらまた甘い鳥のお菓子を貰えるかも知れないね」
先になり後になりながら繋いだ手を離す事なく二人はどこまでも駆けて行く。
駆けて駆けて駆けて………。
遠くなる二人の背中は、いつか二つの小さな白い光の粒となって、無邪気な笑い声と共に丘の向こうに消えていった。
旅立ちを告げる汽笛が 白々と夜の明け始めた空の向こうに
いつまでも いつまでも
聞こえていた
初めての書き込み、失礼致します。
あの、原作の物語りの美しさが全く損なわれる事なく、ブルーとハーレイがすんなりと其処に居る事に吃驚しました。蒸留水みたいなお話...ありがとうございました。
コメント有難うございます!
原作の美しくも切ないラストに「でもきっとカンパ/ネルラはジョ/バンニを迎えにきてくれる筈!」と勝手に思い続けて幾年月、今回ブルとハレに語って貰いました。
思いばかりが先走った拙い内容に、蒸留水みたいとの勿体無いお言葉、とても有難く嬉しく胸に沁みましたです。くくっ(嬉泣)
また遊びにいらして下さいませ♪お待ちしております。
ほんと有難うございましたっ!
実は原作読んで無いんです(恥恥)
でも、今度手に取ってみようと思いましたv
お返事がめちゃ遅れてしまって申し訳ありません_| ̄|○。
゜*☆*゜《リンドウノ さま》゜*☆*゜
うわぁい! リンドウノさま、いらっしゃいませ~☆。
実はこっそり素敵なHPを堪能させていただいております。リンドウノさまの美麗イラストを見るたび「どっしぇ~、かっけぇ~♪」とモニターの前でだらだらと涎を垂らしております。
いやー、今回のQちゃんの銀鉄SSは秀逸でしたね~。今まで読んだ彼女の作品の中で、わたしコレが一番好きかもしれないです。
初カキコありがとうございましたv。嬉しいです (*゚∀゚*)。どうぞまたご都合のよろしい時にでも遊びに来てやってくださいませ♪。
゜*☆*゜《みつくら さま》゜*☆*゜
先輩、いらっしゃいませ~。おつかれさまです! 押忍☆
やー、今回のQちゃんの銀鉄SSを読んで泣いてしまいましたですよ、わたし・゚・(っД`)・゚・。もう「やりやがったな、Q太郎」的な(笑)。
原作も透明感のある素敵なお話しでございます~v。お忙しくてなかなか本をじっくり読む時間も取れないかとは思いますが、そんなにべろ~んと長いお話ではありませんので(中篇くらい?)、機会がありましたらぜひ☆。わたし2冊持ってるんで1冊差し上げたいくらいです♪。失くしたと思って新しいのを買ったら本棚から出てきたんですよ、これがまた…。アニメもよかったとですよ~ (*゚∀゚*)ノ。
コメントありがとうございますぅ。
これを書くきっかけを下さった、みつくら様のタイタ/ニック・ハレブルに感謝です~(思い出すと泣けるっ)。
恥ずかしい位に一人突っ走った妄想全開なブツですが、どうしても書きたくて勢いに任せてしまいました。
やー綺麗なんて勿体無くて身の細る思いがしますが、でもでもっ嬉しいです。
有難うございました!

