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【ラムネ】

「ブルー、ラムネ飲む?」

冷蔵庫を覗き込みながらボクは言う。ベッドに寝転びながら本を読んでいたブルーは変な顔をしてボクを見上げる。
「らむね?」
「うん。飲んだこと無いの?」
「多分…ないな」
「飲んでみる? 美味しいよ」
うん・と返事をすると分厚い上製本をベッドに置いてテーブルにやってきた。
「はい」
薄い翠色の硝子で出来た瓶をブルーに渡す。そのまま赤いキャップを軽く押し込もうとしたので慌ててボクはストップをかけた。
「あ、ちょっと待って! それじゃあ中味が溢れちゃうよ」
ボクはリチュウムの床にラムネを置くと付属の赤いキャップを吸い口に当て、手の平で思い切り押し込んだ。空気を含んで行き場を失った炭酸が瓶の中でパチパチと軽やかな音を立てて弾ける。ブルーはその一連の動作を息を呑んでじいっと見詰めていた。目が見開いてる。そんな珍しいことしてないよ。
そのまま体重をかけて炭酸のブクブクが収まるのを待ち、そうっと手の平を離す。
「はい」
ブルーは硝子の瓶を手に取ると、透き通った液体の中で次々と浮かび上がる細かな泡やパチパチという音をしばらく楽しんだ。ラムネ一本でこんなに楽しめるなんて一種すごいや。
「早く飲まないと温(ぬる)くなるよ」
ボクの一言でようやく瓶に口をつける。だが瓶を傾けるたびに変な顔をしている。飲もうとすると中のビー玉が転がって吸い口を塞いでしまうのだ。
「…ブルー…」
世話の焼けるヒトだな…彼の手を取ってラムネの瓶を45度ほど回転させて持ち替えてやる。
「このビンのボコッとしたトコにビー玉を引っ掛けるんだよ。そうするとちゃんと飲める」
彼はそうか!と得心がいったのかゴクゴクと気持ち良さそうにラムネを飲んだ。
「美味しい」
「でしょ」

ほどなくラムネを全部飲み干してしまったブルーはまた目を見開いてカラカラと瓶を振っている。ああ・とボクは思った。中のビー玉が気になるんだな。
「欲しいの?」
「うん」
ボクは瓶の中のビー玉を自分の手の平に瞬間移動させた。
「はい」
ブルーに渡す。彼はありがとうと言うといつまでもいつまでも翠色のビー玉を日の光にかざして眺めていた。ブルーの瞳も蜜色の光に透けてキラキラと光っている。

(キレイだな。赤いビー玉みたいだ)

ボクは底に少しだけ残っていたラムネを飲み干すと自分の分のビー玉も彼に渡した。
ふたつのビー玉はカロロンカロロンと涼やかな音を立ててブルーの手の平の上で転がっている。

「キレイだね」
「うん。君の瞳の色みたいだ」

まったく彼はボクを喜ばせるようなことばかりを言う。


こうしてこの先、ブルーは秋も冬もラムネを飲みたいと駄々を捏ねる訳ですね☆。ジョミーついに纏め買いです。最近エロばっかやってたんで、なんだかずいぶん久しぶりに健全モノを書いた気がしますねー。Qちゃんは元気が出てきたみたいなんで一安心スよ(^_^)。

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