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皆様、大変ご無沙汰しておりました。
Q太郎でございます。

え~~~っと、自サイト放っぽらかして、素敵サイト様を巡っては遊び呆けておりますです。
……と、おんなじ内容の言い訳を1ヶ月以上前の日記でも申しておりました。
すみませんすみません。
こんなアタシの様子を見に来て下さる女神様方っ、本当に有難うございますです。
申し訳なく、でもでもアイラビュ~ンです。

ん~と、実は、アヒル隊長こと葵アルト様とFF7の愛すべき3ソルジャーの話でエラく盛り上がり、昔々に半端にネタ捏ねてたのがあったよねと思い出し、それを書いておりましたです。
半端にって言っても、冒頭部分の雰囲気しか覚えてなくて、えっちらおっちら記憶を探って、ようやく形になりましたです。
1ヵ月も放置しといてジャンル別の話かよ!なのですが、え~と…、載っけてしまいますです。
FF7知らない方には全く不親切な内容なのですが(平謝)。
一つ書き上げたのは久しぶり~と、ちと感慨に耽ってみたりしてます。
って、どんだけ中途半端なブツが多いかってコトですね。あああ……ド反省。

んと、もしご興味ありましたら、右下からどうぞであります。
読んで頂ければとてもとても嬉しいです。










  「夜明けの果てで見る夢を」 (1)




血に汚れた軍靴が、横たわるザックスの死をその爪先で幾度も確かめる。
遠くに獣の咆哮を聞く。
人の理屈など通じない闇の時間が近づいていた。

「任務完了。直ちに引き上げる。全員急ぎ車に乗り込め!」

銃を構え、微動だにしなかった兵士達が一斉に動き出す。
言葉はない。
負傷者を先に乗せ、幌の掛かった車の荷台に死んだ兵を入れた死体袋を次々に詰め込んだ。
夥しい血の流れを吸い尽くせぬ地面は其処彼処に生臭い血溜まりを作り、この湿った陰鬱な匂いが闇に巣食う魔界の生き物達を引き寄せる。
穢れを連れた夜に追いつかれ呑み込まれてしまわぬようにと、土煙を巻き上げ逃げるように走り去る軍用車の複数に重なり合うエンジンの甲高い唸りは、女の啜り泣きにも似た風音の中にちぎれ、瞬く間に消えてしまった。


「…ッ…クス…」

岩陰から、蹲って隠れていたクラウドの細い手が伸びる。
金色の髪の淡い光が這うようにしてザックスに近づく。

「…ザ……クス……」

名を呼び、縋るように倒れるザックスの腕に触れる。
大丈夫だと、頭を撫でてくれた優しい手は、冷たく硬くもう動かなかった。
友達だろと、笑ってくれた唇は血色を失い、もう何の言葉も掛けてはくれなかった。
厚い雲の切れ間からのぞく冴えた眼差しにも似た星空が二人を無表情に見下ろしている。
クラウドの身体が慟哭に激しく震える。
喉を裂き絞り出された悲鳴は錆びた鉄の味に溢れ、丘向こうの暗緑色の光の中に浮かぶ巨大な影絵のような街に虚しく吸い込まれていった。
僅かに見えていた星空が再び雲に覆われ、そして間もなく降りだした大粒の雨が荒れた大地に残された二人を濡らす。

「…っ…うぁ…ぁ…っっ……」

俯くクラウドの手がザックスの身体を揺する。その胸を叩く。
起きてと、立ち上がってと、何度も何度も。
けれど、どれ程に長くそうして願ってもザックスの心臓が再びの鼓動を刻むことはなかった。

雨が血塗れた大地を洗い流し、雨に呼ばれた風が獣を呼ぶ匂いを遠くへと押しやる。
冷たい筈の雨はしかし温かく、吹き荒ぶ風は何故か切ない程に柔らかく感じた。
唯一の庇護者をたった今失ったクラウドにとってそれは、血のこびり付いたザックスの口元に浮かぶ微笑みのように、とてもとても優しかった。




■□ □■ ■□





少年が叫ぶ。
血の滴るソードを携えた黒い髪の男に向かって。
死への恐れより勝る、激しい怒りに燃える瞳は決して逸らされる事なく、男のくすんで青く光る両の目を睨み続けていた。




どれだけ飲んでも酔わない。いや酔えなかった。
アルコール度数の高い酒ばかりを選び、無茶だと店主が止めるのも聞かずに浴びるように杯を重ねても頭の芯は凍ったままでボンヤリともしてこなかった。
もう一杯と空になったグラスを差し出せば、カウンターの向こう側で店主が首を振る。

「飲みすぎだザックス。もう今日は終わりにしよう」
「まだ大丈夫さ。酔いたいんだよ俺は。もう一杯、いいだろう?」

もうずっと同じ遣り取りを繰り返し、呆れ顔をしながらそれでも酒を注いでくれていた店主は、しかし今度ばかりはザックスからグラスを取り上げた。

「あんた疲れ過ぎてる。もうこれ以上は無理だ。帰って休んだ方がいい」

その言葉に軽く舌打ちをすると、じゃぁ河岸を変えるだけだとザックスは立ち上がる。

「イヤな事は寝て忘れるのが一番だ。ザックス、真っ直ぐ帰って早く寝ちまえよ!」

背中に店主の忠告を聞きながら、わざと店の裏口から外に出る。
誰にも会いたくなかった。こんな時、誰彼と顔見知りの多いのが鬱陶しい。
原色も毒々しい煌びやかなネオンの下で、客を呼び込む着飾った女や男達の猥雑な喧騒に溢れた表通りとはまるで正反対に、薄暗く寂れた狭い裏通りには店々から出されるゴミや酔っ払いの排泄物だろうが混じり合った饐えた臭いが漂っていた。
途端に猛烈な吐き気に襲われる。
身体をくの字に折りブロック塀に手をついてザックスは吐いた。
飲んだ酒を全部吐き戻してもまだ治まらず、咳き込みながらそのまま膝から崩れた。

なんてザマだ。
これがソルジャーかよ。
こんなにもみっともねぇのか、俺は。

自分の吐瀉物に汚れながら蹲るザックスの目の奥がジンと熱くなり視界が滲む。
吐いた苦しさからじゃない。

1stに昇格して三度目の作戦だった。
山々に囲まれた村。辺境の地によく見かける、切り開いた僅かばかりの土地にへばり付くようにして住人達が暮らす、小さな小さな村。
けれどそこは反神羅を叫ぶ組織の核となる村だった。
夜陰に紛れて村を包囲し、朝日が昇る前に村を潰した。
村人達は勿論、家も畑も家畜すらも焼き尽くした。
年寄りも、何も知らないだろう子供とて例外ではない。
テロリストを根絶やしにする為に手段は選ばない。情けなど無用の代物だった。
「人殺し」「神羅の狂った犬どもめ」と罵られることも当たり前に耳を通り過ぎる。
火を放たれた家の中から狩猟用の銃を握り締め、怒りを叫びながら自分の目の前に飛び出してきた少年の身体を、ザックスは手にしたソードで容易く貫いた。
サクリ…と。
手応えも軽く。
呆気なくパタリと仰向けに倒れた少年ををザックスが無表情に見下ろす。
息絶える間際の唇が小さく動いた。

……魔……め…。
ずっと……ったのに………。

死んだ少年の見開いたままの瞳に映る赤く焼けた空の色が、ザックスの脳裏にしがみ付くように離れない。

子供を殺したのは初めてではない。
死んだ母親に縋りついて泣く赤ん坊にさえも剣を突き立てた事がある。
今更何を感じる必要などない。
なのにどうしてあの目が忘れられない。

「…アンタ…、大丈夫か……?」

いきなり声を掛けられて動かした視線の先には一般兵の真新しい隊服を着た足があった。そのままのろのろと顔を上げれば、入隊したてなのだろう少年兵が怒ったような困ったような顔でザックスを見つめている。
金色の髪、青い瞳。
瞬間、その後ろに燃える空が見えた気がした。
自分を見下ろしているのは自分が殺した筈の子供。

「…なんだよ……」

胃液の苦さに顔を歪めたままでザックスが嗤う。

「こんなトコまで追い掛けて来たのか……?」

恨み言なら、いつか俺が死人になった時じっくりと聞いてやるよと、胃酸にひりつく咽喉の奥で呟きながら、そのままザックスは目を閉じた。


<続>


長いので分けます~。


 

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