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FF7なお話、ラストです。
はい、これで貯金がなくなってしまいました。
また頑張ってイロイロ書きます~~。
地球だったりFF7だったり、そしてっリンドウノ様んちの鬼畜様なお話(ウヘウヘ♪)だったり。
書きたいものは山盛り盛り沢山で、時間もないわけじゃぁない。いやありますとも。
足りないのは文章力……ガッ…切ないぃぃ~~!!!
でもでもっ、カメ以下のスピードでもいいって女神様は仰って下さったもん。
ああ、皆様なんでこんなにお優しいのでしょう。
この優しさに縋り倒して、アタイ今日も生きていきます。
「夜明けの果てに見る夢を」 (3)
「おっちゃん!あの岩陰で俺達を下ろしてくれ!!」
金切り声のようなブレーキ音を響かせて急停止した黄色いトラックの荷台から、ザックスはクラウドを抱えて飛び降りた。
「いいか。今日はミッドガルに帰るな。このままカームの村へ行って、そして明日街へ帰るんだ」
「あんたら…一体……」
「おっちゃんは何も知らない。ただ脅されて俺達を車に乗せた。もし聞かれたらこう答えな」
朝を待って宿屋を後にした二人を、自分もミッドガルに帰るからとトラックの荷台に乗せてくれた気のいい初老の男は、身に覚えのない突然の狙撃に動転しながら、それでもこんな場所に二人を残していくのを躊躇っているようだった。
「ありがとよ、おっちゃん。あんたの恩は忘れねぇ。さぁ気にしないで行ってくれ!」
言い終わらぬうちに二発目の銃弾がトラックを掠め乾いた地面に突き刺さる。
慌ててアクセルを踏んだトラックは激しく車体を揺らしながらも、すぐにスピードを上げて黄色い点となって見えなくなった。
男の無事を地平線の向こうに祈る。
ザックスとクラウドを包囲する神羅兵達はジリジリと距離を縮め、その数の多さにザックスは呆れたように目を丸くする。
「なんだよ、あともう少しだってぇのによぉ」
やれやれと溜息をつくザックスの口元には不敵な笑みが零れている。
「ちょいと待ってなクラウド。金にもならねぇ仕事だが、ま、これ片付けりゃ自由が手に入るってもんよ」
クラウドが見つからぬように、狙撃されたりせぬようにと岩陰に座らせ、クシャリと頭を撫でて立ち上がる。と、その足をクラウドの手が引き止めるように掴んでいた。
合わない焦点でそれでもザックスを見上げるクラウドに、ザックスはもう一度膝を折る。
「……っ…」
「大丈夫だって。すぐに戻るさ。んな心配そうな顔すんなよ」
このザックス様を信じてねぇなぁ…?
ニッカリと笑いながら自分の足を掴む細い指をそっと外し、また立ち上がろうとしたザックスは何か思いついたようにズボンのポケットを探った。
取り出したのは、いつだったか石切場の仕事をした時に偶然見つけた一つのマテリアだった。
まだ何の属性も持たない、無垢のマテリア。
通常よりも随分と小さく、攻撃用にも防御用にも育てられなかった。
けれど捨てる事も出来ずにずっとポケットに仕舞いこんだままだったのだ。
「お守りだよ、クラウド。お前にやる」
気休めぐらいにはなるだろと、そのマテリアをクラウドの胸のポケットに入れてやろうとするザックスの手が、ふと止まった。
無垢のマテリアに意識を向け何かを早口に呟くと、ザックスはグッとマテリアを握り締め目を閉じた。
僅かな沈黙の後、今度こそクラウドの胸ポケットにマテリアを入れてやると、自分の額をクラウドの額に押し当てる。
「俺は側にいる。いつだってお前の側にいる。そうだろ?……クラウド」
ザックスの手がもう一度クラウドの髪の毛をかき回す。
そしてゆっくりと立ち上がると、クラウドの伸ばした手を振り返る事なく歩き出した。
向かう先では、鈍く光を放つ無数の銃口がザックスに照準を定め待ち構えている。
守りたいと、そう思う。
たくさんじゃなくていい。
たった一人を守りたいと、心から思う。
この命を懸けて……。
そんなソルジャーに、なりたかった。
俺はずっとずっと、ソルジャーになりたかったんだ。
「ああ、いい天気だなぁ」
ふと零れた言葉の緊張感のなさに、ザックスは自分でも可笑しくて二度小さく笑った。
ありがとう
クラウド……。
見上げた空の青が、目に痛いほどに眩しかった。
■□ □■ ■□
長く、長く、長く……。
どれ程そうしていただろうか。
クラウドはザックスの死に縋り付いたままだった。
降る雨は変わらず二人を濡らし、吹く風もまた変わらずに大地を駆け抜ける。
どんなに願ってももう動く事はないのだと分かっていても、クラウドはザックスから離れようとはしなかった。
前後もないただ暗闇ばかりの広がる中に、ポツリと立ち尽くす自分の手を引いてくれたのはザックスだったのに。
決して決して離さないと握り締めたその手の強さ温かさが、バラバラに砕けて散って消えてしまいそうなクラウドの心を辛うじて繋ぎとめて形を保ってくれていたのに。
けれど、その手はもうクラウドを抱き締め、行く先を示してはくれない。
これからどうするのかもクラウドには分からなかった。
伸ばした手の届かなかったザックスの背中を、今もクラウドは追い続ける。
置いていかないで……。
置いて逝かないで……。
泥の中で眠るようなザックスに身体を重ねてクラウドは彼の名を呼び続ける。
(……………)
応えてくれる筈のないザックスの声を風の中に聞いた気がした。
驚きに身体を起こしたクラウドの胸から小さく光が零れた。
ザックスがお守りだと言ってくれた無垢のマテリアが泥の中に落ちる。
慌てて拾い上げたその小さな珠は不思議な色をしていた。
緑色のような。
空色のような。
そして金色のような……。
「…こ…れ…、マテ…リア……?」
瞬間、クラウドの指先でマテリアが砕けた。強い力を与えたわけでもないのに、それはまるで脆く粉々に砕け散ってしまった。
砂よりも細かく散ったマテリアの光る粒子は風に舞い上がり、雨に溶け、その様を呆然と見上げているクラウドに光の滴となって降り注ぐ。
夜の暗さの中でクラウドの身体を光の中に包んでいく。
―― クラウド……
ザックスの声が聞こえる。
聞き違いではない。確かにザックスの声だった。
深く静かな、愛しむ様に優しい声。
それはクラウドの内から聞こえてくる。
「ザ…クス…。どうして……」
マテリアに己の力を心を流し込む。
それは1stクラスのソルジャーの中でも、上位に属する者にしか使えない魔法だった。
あの時、ザックスは無垢のマテリアの中に自分の技を力を写したのだ。クラウドを想う心と共に。
自分の持つ全てを写すには掌の中の無垢のマテリアは小さく、その時間は無いに等しかったけれど、それでも自分を失ったクラウドが生きていけるように、せめて心だけでも常にクラウドの側に在れる様にと、別れを覚悟したザックスの切ない程の祈りと願いの結晶が、今クラウドの中に広がり溶けて同化していく。
ザックスの声が聞こえる。
お前はソルジャーになるんだ。
クラウド。
本当のソルジャーに。
お前ならなれる。
ソルジャーの証の青い瞳を、お前は生まれながらにして持っているじゃないか。
潔く澄みきった空の青のような。
懐深く全てを身の内に抱いて護る海の青のような。
それは魔晄なんかを浴びた偽物の青じゃない。
お前のその瞳は、正真正銘の青だ。
誰かに憧れ、誰かになろうとしなくていい。
お前はお前のままであれ。
「本当」になれ、クラウド。
嘘も裏切りもない、得だの損だの命令だのに捻じ曲げられたりしない、戦士としての誇りと夢を抱き締めた胸の内に息づく己の正義にのみ従う本当のソルジャーに。
なるんだよ、お前は……クラウド。
その時まで、俺にも少しだけ手伝わせてくれよ。
な、クラウド……。
「……もう…、いいんだよ……」
言葉と共に涙が溢れて落ちる。
これは誰の涙なのか、何の為の涙なのか、クラウドには分からなかった。
温かくて、切なくて、悲しくて。
そして……。
無造作に伸ばした髪を掻きながら人懐こく笑う、陽気で世話好きなソルジャーの姿が胸に浮かび、そして次第に輪郭すらも朧げになり、いつか滲んで消えていった。
雨は止み、風は凪ぎいて、夜明けの匂いが大地を満たしていた。
片手で拾い上げたソードは、長年使い込んだ相棒のようにしっくりと手に馴染んだ。
昔、戯れに持たせてもらった時、両手でも重すぎて笑われた事をクラウドは覚えていない。
ソードを一振りして雨の滴を払い、頭の上でクルリと軽く回す仕草はザックスのそれである事にもクラウドは気付かなかった。
クラウドに溶けたザックスの意識は、彼の心の深い場所にそっと潜み、あるいは眠り、今クラウドが自分の中にザックスを感じる事はない。
「行こう」
丘の上に立ち、誰に言うともなくクラウドは呟いた。
見下ろした先には魔晄の光を放つ街、ミッドガルがある。
そこに行く。
そこで生きる。
ミッドガルで新しく生きる。
一歩踏み出そうとしたクラウドのすぐ脇を、サァッと風が吹き抜けていった。
それは清しく優しく、とても懐かしい匂いがした。
苦しい程にクラウドの胸を刺すそれに、きつく目を閉じ胸を押さえた左手を硬く握りその理由を探しても、どうしてもそれを見つけることができなかった。
ただ、ずっと何かに守られていたような、誰かがいつも側にいてくれたような、不思議な安心感が身体の奥深くに今もそっと息づいている、そんな気がしてならなかった。
「行こう」
もう一度呟くと、クラウドは青い瞳で前を見つめる。
後ろの遥か遠くに聳え立つ山の端が、昇る陽の光に白さを増してゆく。
昏い闇を振り切った背中に朝が訪れる。
クラウドは、明日の中に一歩踏み出した。
<終>
クラってばザックスの死体をどうしたのかしら……、っていう鋭いツッコミは無しってコトで。
まさか踏ん付けて行ったワケではないと思うのだけど(笑)。
ザックス、獣に食われちまったんじゃぁ……思うと冷や汗です。
「こんなのザックスとは違うぅぅ!」なブツですが、最後まで読んで下さって、有難うございました。
心より御礼申し上げます。
ザックスの言葉一つ一つが響いてきて…。
サイコーのアニキだと思います。
それでこの続きがFF7になるんだよね(号泣)
ザックスの思いと自分の心と、引き寄せられてどうしようもない存在と。
色々抱えながら生きていくクラウドは、この時、まさに明日の中に一歩踏み出したんだけど…おぉぉっFF7リプレイしたくなってきた!
素敵なお話ありがとう。
また遊んで下さい!
隊長!!アリガトウアリガトウ。
アルトさんとFF7語りしなければこの話は出来上がらなかったす。
ず~っと記憶の底の底に昔のネタとしてこびり付いたまま形になる事はなかったと思います。
いろんな情報頂いちゃったし。うへへ♪
アルトさんの萌え萌え~んなFF7ストーリーも堪能させて頂いちゃったし。ヒョヒョ♪
目一杯に感謝感謝です。
こちらこそまた遊んでやって下さいませです!!!
FF全く知らないのですが面白かった!つか、こんなハードな世界だったのね!?息止めて全部読んでしまったよ...。
凄まじい世界と生きざまにに愕然としつつ、その語り口に引き込まれてしまったです!Q様凄いわ。
こんな不親切極まりない話、ホント意味分かんなかったでしょ?ゴメンネゴメンネ。
ザックスってね、FF7のストーリーの中にほんのチョビっとしか出てこないキャラでね、なのにその一瞬に魂を持っていかれてしまったのです、アタシ。
格好良くて潔いアニーキな彼を書きたかったのに、こんな薄汚れ風味になっちゃったよ。トホホ。
読んで下さってアリガトウ!!
とってもとっても嬉しいです(特大はぁと)♪